Warm Corner 101

 

 

 

 

 

、キレやすいお年頃です。

 

 

 

 

 

「あーはい、すんません。 ちょっとテンション上げすぎました。」

 

 

 

 

 

部室の真ん中で正座をさせられている丸井君に哀れな視線を向ける私と、

さっき部室に入ってきたジャッカル君。 それとあと柳生君。

 

 

 

 

 

「朝から無駄な体力使わせよって。 二度とあんなくだらんことするな。」

「へーい。 すんませんでした。」

 

 

 

 

 

口では謝っているけど顔が思いっきり反省してない顔してるよ。

弦一は上から怒鳴ってるだけだから見えないだろうけど、

横から見てる私達からしたらモロ見えだっつの。

 

 

 

 

 

「では、真田君。 さんが来栖さんの代わりに入ってくださる方なのですね。」

「そうだ。 コイツが今日の放課後からマネージャー業をする。

問題を起こさないように今から厳しく言っておこうとしていたところだったんだ。」

「ちょっと待って。 何で私が問題を起こすのよ。」

「お前は昔からいらんことばっかりして周りに迷惑をかけていただろう。

それじゃ部活動としては大いに困る。 絶対に迷惑をかけるな、わかったな。」

「何だか納得行かないけど、問題を起こす気はないから大丈夫よ。 無駄な心配ありがとう。」

 

 

 

 

 

ふざけんな、誰がそんなことするか。

今と昔とじゃ違うに決まってんだろ。

つか私何歳だと思ってんだっつの。

いつまでもお父さん気取ってんじゃないわよ。

 

 

 

 

 

さん、これからよろしくお願いしますね。 大変でしょうけど、サポートは我々もしっかりとしていきますので。」

「あ、そりゃどうも。 できれば仕事は軽めでお願いします。」

「最初からやる気ねえじゃんコイツ…大丈夫なわけ?」

「失礼な。 やるときゃやる女よ私は。」

「マジかよ、信じらんねー。」

「喧嘩なら買うぞコラ。」

 

 

 

 

 

丸井君を睨みつけて指を鳴らす。

今すぐにでも喧嘩を高値で買ってやろうと思ったけれどそれもすぐに弦一に阻止された。

 

 

 

 

 

「馬鹿者! 問題を起こすなと言ったところだろう!!」

「だから言ったじゃん。 すぐ忘れるんだって。」

「威張って言うな!」

「朝からアンタ本当煩いですね。 高血圧に気をつけなよ。」

「余計なお世話だ!!」

 

 

 

 

 

私と弦一が言い合ってる傍でジャッカル君の笑う声が聞こえた。

 

 

 

 

 

「元気なのはいいから、さっさと練習したらどうだ。 真田。」

「む、……ああ。 じゃあしっかり覚えておくんだぞ。」

「あいよ。 任せとけ。」

「わかってると思うが、放課後遅れるな。」

「そんなに念をおさなくても、逃げたりしないから大丈夫だって。」

「誰か迎えに寄越した方がいいか。」

「ううん、いらない。 絶対いらない。」

 

 

 

 

 

私が両手と首を思いっきり左右に振ったにも関わらず、疑いの目を向けた弦一が

丸井君に放課後迎えに行くよう指示していた。

くそっ余計なことを…!!!

逃げ道塞ぎやがって!!

 

 

 

 

 

「うぃ〜ダッルーイ!」

「まあまあ、元気だしなよ。 はい、これあげるから。」

「わーフルーツ牛乳だ! 奢り!? 奢り!?」

「あはは百円返してね。」

「金払わすなら買ってくるなよ!!」

 

 

 

 

 

昼休み、朝貰った地獄のファイルを見ながら机に項垂れていたら

友達の小百合が笑いながらフルーツ牛乳のパックを有料で差し出してきた。

親切が全く親切に感じないこの行為は一体…。

 

 

 

 

 

「まさかがマネージャーねえ。 真田君の幼馴染ってのも信じ難いけど、もっと驚きだわ。」

「私も驚きだわ。」

「部員に怪我させたりしないでね。」

「しないよ。 一体私を何だと思ってるんだドイツもコイツもオランダ人も。」

 

 

 

 

 

よくよく考えたら幸村君も入院しちゃったし、何しにマネージャーするんだ私。

どう考えたって弦一に騙されたよね。

きっと柳君にでも余計な入れ知恵されたんだ。

全く、悪い友達を持ったものだ。

 

 

 

 

 

「あーあ、くだんない。 丸井君なんてすっげ失礼な奴だし。 先が心配だよ。」

「失礼なのはたぶんアンタだよ。 私が見てきた限りアンタは第一印象を顔でしかカバーできない人間だもの。」

「そんな遠回しに言わずとも直接可愛いと言えばいいじゃないか。」

「言いたくないってどうしてわからないかなこの子は。」

 

 

 

 

 

買って来てくれたフルーツ牛乳をちゅるちゅる飲み干して「あ゛ー」と声を漏らすと

小百合がオッサン臭いと突っ込んだ。

やめてよ、弦一じゃあるまいし。

 

 

 

 

 

「おーいー、迎えに来たぜい! さっさと用意してくれろい!!」

 

 

 

 

 

放課後、ギリギリまで拷問ファイルと睨めっこしていると、

大声を張り上げてお約束通り丸井君が教室まで迎えに来てくれた。

いや、来てくれなくて大いに結構だったのですが。

クラス中の視線を受けて、渋々と私は鞄を持って立ち上がった。

 

 

 

 

 

「ほう、こりゃまた別嬪じゃの。」

「口悪ぃけどな。 おら、さっさと行くぞい。」

「ちょっと! 即行私の好感度下げるようなこと言わないでくれる!?」

「事実だろい。 俺が黙っててもすぐバレるって。」

「テメエ何の恨みがあって私をそこまで貶す!」

 

 

 

 

 

丸井君の隣には銀髪の仁王雅治がいて、私が来たらさっさと歩き出してしまった。

部室につくまで私と丸井君の言い合いは尽きることなく、

部室に入ってもなお続けていたので二人とも弦一に張り倒された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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2007.02.07 執筆

比較的短いお話集です。 お気軽にお読みください。